私たち「宗教法人アシュラムセンター」の与えられた使命と役割(1)

主幹牧師 榎本 恵

 日本クリスチャン・アシュラム連盟の60周年おめでとうございます。私たち、宗教法人アシュラムセンターも2015年に、40回目の年頭アシュラムを行うこととなっており、ともに、記念の年を迎えることができますことを、主に感謝するとともに、この長きに渡り、アシュラム運動を推進し、守り育てて来てくださいました先達方の信仰に敬意を表するものであります。

  ご存知のように、私たち「アシュラムセンター」は1975年夏、滋賀県近江八幡市に、設立されました。それまで、日本基督教団今治教会の牧師を務めながら、独自にアシュラム運動を続けてまいりました榎本保郎牧師が、主の「向こう岸へ渡ろう」という声を聞き、アシュラム運動に専心するため、今治教会を辞し、多くの方々の祈りと支えによりアシュラムセンターを設立いたしました。ところが、その榎本保郎牧師は、わずか2年の間に、天に駆け上るように召され、残された者たちは、途方にくれながらも、このアシュラム運動を引き継いで行く決心をし、2代目主幹牧師として田中恒夫牧師を迎えました。以来、幾多の危機的状況を神の不思議な御手の助けにより乗り越え、アシュラム運動を推進し、広げて行くことを唯一の目的とした宗教法人として歩んでまいりました。現在は、2代目田中牧師急逝の後、8年前より、3代目主幹牧師榎本恵を迎え、今に至っております。

  初代主幹牧師榎本保郎は、その39年前の設立趣意書の中で、このように述べております。

「昭和30年キリスト教におけるアシュラム運動の指導者スタンレー・ジョーンズ博士が来日され、博士に接触し、アシュラム運動こそキリスト教信仰の神髄であると痛感し、昭和34年の冬、有馬においてのアシュラム集会に参加し、その折、スタンレー・ジョーンズ博士より指名いただき、皆の皆のために祈る祈り者として奉仕した。」

 もちろん私たち「アシュラムセンター」も日本クリスチャン・アシュラム連盟もともに、E.スタンレー・ジョーンズ博士によって始められたアシュラム運動をその基に据えるものであり、「イエスは主なり」という告白に、何一つ足すことも、引くこともしないものであります。しかし残念なことにこの40年の間、お互いの間の交流がほとんど持たれることなく、それぞれの歩みを続けてまいりました。私たちアシュラムセンターでは、主催アシュラムである年頭アシュラムを中心に、各地アシュラムとして、それぞれの地域のアシュラムの友が主催者となり、大小合わせ、年間30箇所以上のアシュラムが持たれております。また海外、特に台湾、ブラジルにおいても、アシュラム集会が持たれ、現地のアシュラムの友を中心にしながら、活発にその活動がなされております。しかしながら私たちのアシュラムセンターの歩みも、決して順風満帆の何ら問題のないものではありません。参加者の高齢化、人数の減少、財政の逼迫、建物の老朽化など、数え上げればきりがありません。しかし、それらは、単に私たちだけではなく、日本の教会全てに共通する問題でありましょう。おそらくその問題を一朝一夕に解決する魔法の処方箋はないでしょう。ただ一つ一つの課題に対し、逃げることなく、真摯に向き合い、ないものでなく、あるものを数え、祈りつつ主に聞き、正しい解決を求めていこうと決意しているものです。幸い、今年から、ロスアンゼルスの日系人教会の方々が、アシュラムに興味を持ってくださり、現地の宣教団体の協力を得て、本格的アシュラム運動を北米の地でも展開できることになりました。初代主幹牧師榎本保郎が、その命をかけてまで伝えようとしたアシュラムが、40年の時を超え、北米で開かれようとすることに、主の約束は決して変わることがないこと確信しています。

 今年2014年の年頭アシュラムにはじめて、日本クリスチャン・アシュラム連盟理事長横山義孝牧師にお越しいただき、先生の尊いお話を聞く機会を得ましたことは、なによりも大きな喜びでありました。多くの心ある牧師、また信徒の皆様方が、同じ日本に、アシュラムの名を戴いた2つのグループがある事を、心配しておられる事を耳にします。もちろん、私どもはけっして、敵対したり、争ったりしているわけではありません。しかし、もしこのことが「わたしはパウロにつく」「わたしはアポロに」「わたしはケファに」「わたしはキリストに」などと言い合っている(Ⅰコリント1:12)事と同じと見なされるなら、これこそアシュラム運動にとって不幸な事はないのではないでしょうか。そこに、横山先生が、まず私たちアシュラムセンターをお訪ねくださいました事は、ほんとうに感激の極みでありました。またこのことのために、両者の間に入り、取り持ってくださいました、東京聖書学校長島隆三牧師のお働きにも、心から感謝申し上げる次第であります。和解の使者の姿ほど、美しいものはありません。40年のときを越え、働かれる主の御手は決して短くはない。今回の横山先生のご決断を、私たちは、このように受け止めさせていただいております。

  共にそれぞれの歩みを続けて来た、アシュラム連盟とアシュラムセンターが、お互いに交流を深めていく事は、大事な事であります。しかしそれは無理矢理、二つのものを一つにするという事ではないでしょう。それよりはむしろ、お互いがお互いを認め合い、お互いに尊敬し合い、それぞれの働きをそれぞれに応じ行いながら、協力すべきところは協力する。そのような姿こそが、理想であります。

私たち「宗教法人アシュラムセンター」の与えられた使命と役割 (2)

主幹牧師 榎本 恵

 

 私たちアシュラムセンターは、2009年に、台湾のアシュラム運動「台湾基督愛修会」との間で、協約を結び、お互い主にあるよい交わりを行っています。ここに、参考までに、その協約を紹介致します。

主にある聖家族(ファミリー)をめざして

 ー日本アシュラムセンターと台湾基督教愛修会との協約—

1前文

われら、日本アシュラムセンターと台湾基督教愛修会は、その設立の時以来長年の間、ともに祈り、支え合う関係を続けて来た。また「国際平和アシュラム」の開催を通し、関係が深まりつつある中で、この度正式な協約を締結し、人種、国籍、性別を越え、私たちのあらゆる垣根を取り去り給う主に聴き従い、真の正義と平和がこの地上に来らん事を待ち望む。マラナタ。(主よ、来たりませ)

2協約

    日本アシュラムセンターと台湾基督教愛修会は、ともに「イエスは主である」という信仰告白に立ち、新旧約聖書を基本にして、集会を行う。

    われわれは、それぞれに実行委員会を持ち、運営、プログラムなどについては、それぞれの自主性において決定し行う。また互いの課題をともに担い合うために連絡を密にし、その関係性を深めていく。

3)   私たちは、上記の目的を達するために、毎年公式の訪問団を送り、  

    一年間のそれぞれの信仰の歩みを報告するとともに、お互いの祈

    りの課題を挙げ、主のみ言葉に聴き、祈り励まし合う事を約束す

    る。

4)   われわれはまた、共通の祈りとして、この地上に神の国と神の

    義の実現を祈り求め、世界の国々、また地域における主の平和と

    主の正義のために協労し、その証として「国際平和アシュラム」

    を共同で開催する。

5)   最後にこの協約は、日本アシュラムセンターと台湾基督教愛修

    会との間に交わされたものであり、全世界に広がるキリスト者同

    士が、真の聖家族(ファミリー)となることを、祈り、はげまし

    ていくことを願う。

 最後になりましたが、60年にわたる、日本クリスチャンアシュラム連盟の働きに対し、心からの尊敬と感謝を現すと共に、次の60年を見据え、共に主の道を歩むものとなることを、またそのためにこれからお互いの関係をさらに密にしていく事が出来たら、幸いであると願っております。どうか、日本において、また世界において、主のみ言葉に聴き従うという、このアシュラム運動の大いなる働きが、ますます広がっていくように、お互いに力を合わせて参りましょう。